校長のつぶやき(57)沖縄『慰霊の日』を覚えて
掲載日:2021.06.23
今日は沖縄の独自の「慰霊の日」です。礼拝での私のメッセージから抜粋を掲載します。
…沖縄戦は1945年3月末、空からの空襲と海は軍艦からの激しい砲撃で始まりました。米軍は3月26日沖縄本島の西の慶良間諸島へ上陸、4月1日沖縄本島中部の西海岸へ上陸。以後6月23日までの約3カ月間の「鉄の暴風」と呼ばれた激しい戦闘でした。米軍を中心とする連合軍総勢55万人と総勢10万人の日本軍との戦闘で、戦没者は20万人。そのうち9万4人が民間人で、沖縄県民4人に1人の戦死という計算になります。…
…広島の原爆は1945年8月6日、一瞬にして大勢の命を奪いました。1945年、年内で亡くなった原爆の犠牲者は8万9千人。沖縄戦は3か月間で9万4千人。そして亡くなり方に特徴があります。武器を持たない一般の人々が、日本軍に集団自決を強いられる。あるいは殺される。…手榴弾が渡されて、「捕まるなら自決せよ」と言われる。言われて集団自決をするものですか? 戦争は、心の思考停止のスパイラル状態です。…
…そうした死が当たりまえで、とても多くの人が集団自決を強いられたことを考えると、沖縄の「慰霊の日」の「慰霊」という言葉に込められる思いは、誤解を恐れずに言えば、広島とは違った「慰霊」の思いがあります。…
…そんなことは今ならありえない、という人は「いじめ」を考えてみてください。何故、いじめは無くならないのか?原因の一つは自分が対象になることへの恐怖心の蔓延です。恐怖で「心が凍る」という経験は、誰しも大なり小なりにあるはずです。思考停止で凍った心は、戦争ではより大規模に大義名分を立てて、大勢の人の、人としての心を凍らせます。信じられないこと、目や耳を疑うようなことを認め、それに加担していきます。
…今日の聖書の箇所(イザヤ書2章4節)ですが、強国のアッシリアに脅かされていたユダヤの民に向かって、神の言葉を受けたイザヤは、武器を打ち直して農具に変えよと説きます。しかし、国家間の緊張が激しい中にいる人々にとっては、この呼びかけ自体が馬鹿げていたことでしょう。「イザヤは、何を寝ぼけているのか」と考えたことでしょう。しかし、これも人々の心の思考の停止状態なのです。
…イザヤがあえて「剣を打ち直して鋤(すき)とし、槍(やり)を打ち直して鎌とせよ」と言うのは、人々の心の思考の停止状態への警鐘です。神が人々に対してはるか昔から、エデンの園での経験を原点にして示してきている人間の本質的問題…神を見ない人間の自己中心性を人間自身は忘れている、ということを素朴に、しかし強く指摘しているのだと思います。…
…今日6月23日は、沖縄の「慰霊の日」です。沖縄で何が起こっていたのか、何故そのようなことが起こったのかを、少しでもいいので自分で調べてみてほしいと思います。それは、これからの未来を創るのは、皆さんだからです。…