校長のつぶやき(58)6月IELTS受験結果
掲載日:2021.07.02
5月28日の『校長つぶやき(53)』で、校内で実施している土曜日のIELTS講座を紹介しましたが、6月5日、その講座を受講する生徒たちがIELTSの試験を受験しました。試験のタイプは、英語圏の高等教育機関への進学に必要なAcademicタイプです。頑張っていたので…こっそり、しかし堂々と、結果の概況を公開します。
*6月5日、高校1~3年生の42名が受験しました。
*上位から順に、スコア6.5が3名、スコア6.0が3名、スコア5.5が6名です。
*21名が5.0以上のスコアをマークしまた。受験者のちょうど半数でした。
*42名全員での総合スコアの平均は、4.7でした。
これは、どれくらいの力なのか…ということになりますね。IELTSについて説明します。
◆IELTSは…
*概要:『International English Language Testing System』のabbreviation(略称)で、英語が母国語ではない人を対象とする英語能力試験です。海外留学や英語圏への移住の申請に最適と言われる英語能力検定です。イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポールなどのほぼ全ての高等教育機関で英語能力検定として認められています。また、英語圏ではない国でも教育言語を英語とする大学で認められています。これまでアメリカの大学への進学にはTOEFLが必須と一般的には考えられてきましたが、アメリカの大学もIELTSを採用する大学が増え、TOEFLに代わる試験として採用する教育機関は今や3,000以上です。受験者数は、世界約250万人以上、日本国内約3万1000人です。IELTSは信頼性と有用性の高い英語能力検定です。
*成績(スコア):最高は9.0から下は0までの0.5刻みの数値で評価されます。Listening、Reading、Writing、Speaking の各分野のスコアとそれらの総合スコアで示されます。英語圏の大学進学(大学が併設する語学学校が不要な正式入学)に必要なスコアは、おおよそ6.5が目安です。難易度の高い大学には7.0以上が必要です。
*日本におけるIELTS:特に日本ではこの5年で受験者が4倍となりました。日本の大学入試においても、IELTSのスコアを入学試験の英語試験に置き換えて満点換算にするとか、英語試験の得点に加点するなどの措置が見られるようになりました。ちなみにIELTSのスコア4.5以上で、英語試験の点数への加算措置や満点分の6~8割への換算措置が多くなります。5.5以上になると満点換算という大学も現れます。この傾向は知名度の高い大学に多いとも言えそうです。インターネットでIELTSの利用大学を検索すると、10~20年前の時代と全く様相が変わってきていることがわかります。この数年、大学入試センターの実施する共通テストに関して、外部検定試験のスコアを利用できるとか、利用すべきでないとかのかまびすしい論議が起きていますが、現実はIELTSの大学入試への浸透は著しく進んでいます。日本の英語教育や英語の入試問題がどうであれ、要は世界に通用する英語力の客観的測定結果が入試にも有用として認知されてきたということです。特にIELTSの浸透には著しいものがあります。(入試に英語があるのが原因で英語教育が歪められたという究極的な意見もありますが、その真偽はともかく日本の英語教育は、世界の中でも、そしてアジアの中でも、ガラパゴス化してしまいました。本校が、他校にはなかなか例を見ないIELTS土曜講座を設置するなどの理由は、国内外のこうした事情を考えるものです。)
◆ちなみに参考までに、TOEFLとTOEICを挙げます。
*古い世代にもお馴染みのTOEFLは…
『Test Of English as a Foreign Language』のabbreviation(略称)で、★「約130 カ国9000 以上の大学や各種機関で、入学選考基準として採用」されています。英語圏の*「大学や教室でのコミュニケーションに必要な英語能力を測定するテスト」で、入学者選抜のための基準として採用されています。受験者数は、★「世界約72万人・国内約8万人」です。
◆国内受験者数がダントツのTOEICは…
『Test Of English International Communication』のabbreviation(略称)で、日本人のための英語によるコミュニケーション能力とビジネス能力を測る試験として、1973年から日本で開発が始まり1979年に日本で誕生したテストです。受験者数は、過去問を用いて検定試験とするIPテストも含めて約700万人、国内で約270万人。ただし、イギリスのビザ申請で英語力の証明が必要な場合は使用できません。TOEFL対して TOEIC はビジネス英会話および日常会話を主眼にしています。
◆最後に、日本の大学入試で優遇されるIELTS、TOEFL-iBT、英検1級に関する比較分析を紹介します。
3つのテストを4技能別に、「出題問題の難易度」と「採点基準」でそれぞれ比較し、総合的に判断します。Recognition領域でのReadingではIELTSが最高難度、Listeningでは3つがほぼ同等。Production領域でのWritingでは、難度が高い方から IELTS、TOEFL-iBT、英検1級の順。Speaking についてもIELTSが他の2つより難度が高いとみられています。専門家の語る総合的な印象としては、IELTS、TOEFL-iBTの2つは、技能の分野によっては微妙なところもある。が、採点基準(採点の観点)の厳しさからすると、難易度の順は上位からおおよそIELTS、TOEFL-iBT、英検1級の順になる…とも言われています。