校長のつぶやき(85)ハワイ大学KCCの説明会を開催しました


掲載日:2023.10.21

 10月16日(月)に、ハワイ州立大学マノア校とハワイ州立大学機構カピオラニ・コミュニティ・カレッジ(KCC)への進学説明会を実施しました。 KCCのアドミッション・オフィスのミヤキ様とハワイ大学経済学科教授の樽井先生に本校をご訪問いただき、13時15分から説明会を開催しました。平日の午後にもかかわらず多くの家庭の参加がありました。

 特にKCCとの協定では、KCCと本校(関東学院六浦)と関東学院大学の三者で、それぞれ二者間での約束があります。KCCへ進学して・・・①KCC(2年)を卒業する、②KCCの修了後にハワイ大学(あるいはアメリカ本土の大学)へ編入で進学する、③KCCの修了後に日本へ帰国し関東学院大学の3年次に編入で進学する、の3つの進路が可能です。

 日本国内の大学に進学し、大学在学中に大学の交換プログラムで留学を考えるという高校生が増えています。しかし大学の交換プログラムは、その多くは正規の留学進学よりは語学学習レベルも、それに伴っての専門の学びのレベルも「ゆるい」というのがほとんどでしょう。留学で力を付けつつ、日本での大学卒業を考えるのならKCCの③は非常に有効です。また、これからの日本の社会を考えれば、特に社系・文系進学であれば、そして経済的な合理性と経費のリーズナブルさから考えれば、近未来に向けて②と③が有効な選択になるでしょう。

 今回の説明会に参加された家庭は、KCCへの進学で開かれるのは単に海外留学への道ではなく、未来の日本へ歩んでいくための道・・・と感じられた方が少なくないと感じます。私は数日前に読んだ新聞記事でいっそうその感を強くしました。

「米国内の戸建て住宅事業でM&A(17年にバージニア州、21年にテキサス州、23年10月にカリフォルニア州)を進める大和ハウスは27年3月期までに米国を中心とする海外の戸建て住宅の売上高が国内の売上高を上回る見通しだ。住友林業は22年12月からテキサス州とフロリダ州、積水ハウスは22年6月からテキサス州、アイダホ州へ進出している。(2023年10月13日 日経新聞ビジネス欄記事の要旨)」

 いまはほとんど死語となった「多国籍企業」を想起します。衛生(生理)用品の大手企業も10数年前まではほとんどが内需の企業でした。が、発展途上国の生活水準の向上で海外での売り上げを大きく伸ばしています。内需の製品の海外進出です。優れた技術を持つ内需中心の企業の海外進出が進めば、一方で、日本国内で学ぶ発展途上国からの留学生が増えている現状を考えると、企業の雇用にも少なからず影響があるはずです。日本の子どもたちが就職で置き去りにされる?子どもたちの学びを海外に開く必要性をここにも感じるわけです。

 2000年代、韓国では海外への留学生が増えました。サムスンなどが日本の家電メーカーを追い越し、欧米に販売シェアをぐんぐん伸ばした時期です。その頃日本はバブル期に多かった海外留学人気がどんどん縮小してしまい、韓国での留学ブームの理由が深く考察されませんでした。韓流ドラマの中で見る社会の特徴というくらいで、うわべの理解にとどまっていたと感じます。

 日本は人口が縮小し内需もこれまでとは違う傾向となるのはもちろん、ますます不可欠な海外との商売を異文化経験の中から考えることが必要になるでしょう。未来社会では、海外の文化・風習を実際に経験していることが役に立つはずです。将来に就く仕事によっては、留学は「付加価値」としてではなく、自分の将来に真に必要な学びの本当の価値になるような気がします。