校長のつぶやき(31)大学受験は、より戦略的に
掲載日:2019.07.01
6月29日(土)、 大学入試に関するガイダンスを行いました。対象は5年生(高2)と6年生(高3)保護者です。学年別に開催しました。進路指導部が主催。そして首都圏で総合的な進路情報提供のリーディングカンパニーである「株式会社進路企画」とのコラボ。講師は進路企画の山田氏にお願いしました。今年は、進路指導部の活動が例年以上に活発です。激動の入試環境により適切に対応することを目指しています。例年通りの実施ですが、今年は特に5年生(高2)から大学入試が大きく変わるということと、この数年の文科政策(入学定員の厳格化が始まって3年目、受験生の流動と難易度の変化)で生じている大きな変化を知ってほしい、ということが狙いでした。
実際に6年生と5年生以下では、新しい制度への変更で、受験に対して知るべき情報や心構えは考えている以上に違います。現制度での6年生については、大学入試自体も定員厳格化(オーバーで補助金削減)によってAO、推薦入試の比率が上がっており、AO、推薦入試自体がこれまでの経験とはすでにかなり違ったものになってきているのが現実です。また、この傾向は5年生以下の新制度ではさらに進み、(誤解を恐れずに言えばAO入試などは)基礎学力の審査も加味されるなど、楽な入試とは決して言えないものになることなどが具体的な例で示されました。
定員厳守は、この6年生もさることながら5年生以下にも相当の影響があるでしょう。説明会の冒頭、進路指導部長からの挨拶で、「大学側が定員を厳守するための『戦略的な入試選抜』の方法を取っています。受験する側も情報を待つのではなく自ら積極的に取りに行き、保護者もその戦略を意識して、親子で『戦略的』に受験する」ことを指摘しました。山田氏の解説では、それがよくわかる事例も含めて説明がありました。希望する大学の一つをとってみてもその大学の複雑な入試制度の中の大学側の戦略が読み取れるか…これはかなり難しい。保護者の皆さんが受験先をお子さんと相談する際には、お子さんに任せきりということは冒険であること、また、保護者がよく調べずに自分の経験から、あるいは、想像からだけで判断することの危うさが説かれました。
5年生以下には新しい制度の理解のみならず、そのための準備として、この時点から積極的に大学の情報を集めること、そして、偏差値だけから受験適性を考えるのではなく、どういう入試か、何が求められる入試なのかを遅れることなく調べること。これらがとても重要です。もちろん、大学での主体的な学びに必要な基礎学力をつけることは言うまでもありません。また、漠然としていても何をしたいのか、逆に言えば、似ている学群であっても何が目指すもので、何が目指すことではないのかに関する絞り込みも大事になってきています。入学した後での「不一致」。これによる退学者や転部希望者が多いことも昨今の実態です。「大学入試日、つまりゴールは定まっていますが、スタート地点はその人次第です。積極的に…」(進路指導部長)この言葉が余韻として残りました。